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親になる③女性カップルと法案

 生まれてくる子どもの権利を守るための法案が、ある人たちにとっての「絶望」につながりうると懸念されている。与野党が提出した法案は、なぜ対象を「法律婚」に限定したのか。法律婚の枠の外にいる人たちが救われる方法はないのか。

 2024年10月。議員会館であった超党派議連の総会。ここで「特定生殖補助医療法案」の「たたき台」が示された。第三者からの精子提供などで生まれた子どもの「出自を知る権利」を保障するのが法案の目的だ。

  • 【そもそも解説】「特定生殖補助医療法案」国会に提出 何が変わる?

 日本では戦後まもないころから、夫婦とは別の第三者から提供された精子を使った人工授精(AID)が、一部の医療機関で行われてきた。精子がつくれない「無精子症」などで医学的に子を授かれない法律上の男女が対象だ。

 ただし、精子の提供者は匿名が原則とされてきた。提供者がどんな人かは分からず、成長した子どもたちが知りたいと強く願っても、その情報にアクセスできない。

 そうした子どもたちの「出自を知る権利」を保障する法の整備は、13年に自民党内にプロジェクトチーム(PT)がつくられ、検討された。しかし、そもそも生殖補助医療自体に拒否感を示す議員もいて、なかなか進まなかった。匿名でなければ、精子提供者が減るのでは、という懸念も消えなかった。

 その後、超党派の議員連盟がつくられるなど10年以上の曲折を経て、まとめられたのが冒頭の「たたき台」だった。

 超党派議連の会長を務める自民党の野田聖子氏は「これからの若い人たち、子どもたちの身分を守っていくために必要なこと」と強調する。

 今年2月には、自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党から、国会に法案が提出された。

 しかし、法案で置き去りにされた課題もある。

 法案の第3条は対象者を、医学的な理由で子どもを授かれない「夫婦」と定める。法律婚の夫婦のみが対象で、事実婚の男女や女性同士のカップルなどが除外されてしまうことを意味する。

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第三者の精子提供による生殖補助医療のルール

 日本にはこれまで、日本産科婦人科学会の「AIDの対象者は法律上の夫婦に限る」という自主的なルールだけがあった。法的拘束力はなく、近年、海外の精子バンクを利用するなどして、女性同士のカップルが子どもを生む例が可視化されはじめていた。

 法律がない中とはいえ細々と行われていた現実がある中で、新しい法律によって「違法」とされることを、当事者団体などが問題視している。この状況を受けて検討に参加してきた立憲民主党は法案提出には加わらなかった。

 与党の一角を担う公明党は超党派議連で、事実婚カップルや女性同士のカップルも対象に含める案を出した。ただ、文案をまとめる過程でこの案は採用されなかった。議連の幹事長を務める同党の秋野公造・参院議員は「各党から理解を得られなかった」と話す。

 なぜ対象を法律婚の夫婦に限るのか。

 議連の副会長を務める古川俊…

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